トヨタ関係企業の事例_人事制度

トヨタ関係企業の事例

コンサルティングによるソリューション


■グラスティが考える人事制度改革コンサルティング

「人事制度」とは
人事制度は、目指す姿、ビジョンを実現するための、「人材集団の形成」「人材育成」のツールです。

人的資本経営において「人財が重要な資産」であるからこそ、働く人たちが「仕事に対する動機づけを高め」「「働く環境に満足していただく」ためにも、人事制度を見直していく企業が増えています。また、合併などの組織の大きな変化がある場合に、人事制度見直すケースも増えています。

人事制度が、ビジョン実現に向けた人財集団の形成のツールだからこそ
 1 人事制度の設計
 2 人事制度の運用

の両面を支援する、コンサルティングを行っています。

【人事制度の位置付け】


【人事制度改革の領域】

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1 人事制度の設計 コンサルティング

人事制度改革の領域であるように「①等級・コース制度」「②評価制度」「③賃金制度」の3つに取組んでいきます。

■第1ステップ  現状分析・課題抽出、基本構想の設計

①グループ経営戦略、人事・組織戦略の確認   ②経営層・管理職層へのインタビュー
③現場視察   ④現行制度(人事関連規程等)及び運用分析   ⑤賃金データ分析    
⑥基本構想策定

・①~⑥の情報をもとに、「経営方針と人事制度見直しの目的」「現行人事制度の特徴と課題」「人事制度見直しの方向性」などを整理していきます。
・その上で、人事制度を設計する上で基軸となる考え方である「人事制度構築基本ポリシー」を設定します


■第2ステップ  制度設計

①等級・コース制度
②評価制度(目標管理制度も必要に応じて導入)
③賃金制度(給与・賞与) *退職金、年金制度は含まず

①等級・コース制度
 コース及び等級の定義・基準の設計、昇降格基準の設計
 ◆等級とは、会社が従業員に期待することをレベルに応じて区分したものであり、等級制度とは、その期待レベルに応じて従業員を格付けする制度です。等級が基準となって、処遇(賃金、職位)、評価、能力開発などが行われます。

②評価制度
 評価体系の整備、実施時期(対象期間)、評価者・被評価者、評価要素、評価段階
 評価制度関連帳票類の作成
 ◆評価と人材育成に結び付けた考え方で、評価体系、評価項目を設計していきます。

③賃金制度(給与・賞与)
 給与及び賞与の設計、各種手当の見直し、モデル賃金の設計
 ◆賃金の主要ポイントとして「支給水準」「支給基準」「賃金のインセンティブ性をどうするか」「コンプライアンス」の4つについて考えていきます。特に、支給水準を考える上で、「賃金体系の意味を決めていく事」が、賃金の在り方の基盤とななってきます。

■第3ステップ  移行設計と導入準備
①移行に伴う方法・移行措置の立案
②新人事制度の社員への説明用資料作成
◆どのタイミングで、どのように移行していくのかを考えていきます。特に評価制度の移行にあたっては、トライアル期間を実施するなど、移行スケジュールや、移行のための説明会の仕方などを設計していきます。

2 人事制度の運用 コンサルティング

1)グラスティの制度運用・定着に向けた考え方
 ⅰ)簡単に伝わらないからこそ、丁寧に、何度も(同じことであっても)繰返し、伝える場
 ⅱ)皆さんの質問に耳を傾け、その時々の質問に応えていく体制
 ⅲ)管理職に運用を進めていただくために、研修を通じて「考え方」「目標設定のレベル」「評価の目線合わせ」を行っていく

2)具体的な取組み
 ⅰ)新人事制度の全社理解を深める (幹部、管理職、全社員 とそれぞれの階層で実施)
 ⅱ)人事考課の実施に向けた、評価眼のすり合わせ
   → くり返しの管理職同士の評価眼すり合わせ (考課者研修、すり合わせ会議)
   → くり返しの幹部と管理職の評価眼のすり合わせ (考課者研修、すり合わせ会議)
   → 目標設定レベルのすり合わせ
 ⅲ)部下へのフィードバックレベルアップ (考課者研修、アンケート実施による実態把握)
   → フィードバックのシナリオ創り
   → フィードバックのロープレ
   → 実施して困った事、上手くいかなかったことの意見吸い上げ、フィードバック
 ⅳ)幹部の評価眼のすり合わせ (幹部ミーティング、幹部擦り合わせ会議)
   → 幹部による、目標設定すり合わせ、最終評価の決定
   → 具体的な取組については、人事考課の事例をご覧ください

INDEX
<事例1>トヨタ販売店B社「複数社の販売店の合併に合わせて、人事制度改革に取り組む」
<事例2>トヨタ販売店C社「ES調査をうけて、人事制度改革に取り組む」

トヨタ販売店B社(従業員数)1300人

■概要

制度、賃金、働き方が違う、複数社の販売店の合併時に、人事制度を一本化することとなり、合併時の人事制度の設計、合併後の人事制度の定着・運用について取組んでいる。

■コンサルティング内容

コンサルティング①
人事制度設計コンサルティング


1)プロジェクトメンバーとして、人事部門のスタッフだけでなく、各社から課長級で、営業・サービスのメンバーと、フロアスタッフの代表のメンバーを加えた10名でスタート。

2)第1ステップ  現状分析・課題抽出、基本構想の設計
・複数社の合併という事もあり、各社の制度の整理、仕事の仕方などを丁寧に整理したうえで、現状の分析を行った。特に、各社の人事制度の現状を考え方については、丁寧なヒアリングを行った。
・合併することによって、会社の理念。ビジョンなども新たに考えられていたので、その理念、ビジョンをもとに、これからの会社で求める人材像を明らかにした。そのうえで、人事制度構築基本ポリシーを設計して、人事制度が「ビジョン実現に向けた人財集団つくり」のツールとしての機能する制度にする基盤を整えた。
・合併会社という事もあり、このプロセスを通じて、合併会社のあるべき姿、求める人材像を共有できたことで、等級制度、評価制度を進めやすくなった

3)第2ステップ  制度設計
(コース・等級制度の設計)
求める人材像に向けて、どんなステップで成長していってほしいか、そのような仕事の仕方をしてほしいか、などを中心に議論をする中、自社独自の等級制度を設計した。また、各等級の定義を明らかにすることで、社員の自己成長の基準できた。
(評価制度の設計)
・各コース・等級ごとに、評価項目を設計していった。その際に、「仕事の進め方」「組織で仕事する」「知識・技能」「取組み姿勢」の4領域14評価項目程度に整理。夫々の評価項目についても、理解を深めるための行動基準などを示すこととした。
・評価制度では、本人評価の実施、フィードバック面談の実施、すり合わせ会議の実施など、公平公正な評価、一人一人が成長に結びつく評価制度となるよう工夫をした。
(賃金制度)
・複数社の賃金に大きなばらつきがあったため、範囲給を用いるなど、不利益変更が起きないように設計をしていった。但し、合併から5~7年後に賃金の状況を再度確認したうえで、賃金制度を改定していく事も視野に入れて、設計を行った。
・各社の手当に差があったこともあり、手当の統廃合を行った。「生活系の手当」については、会社の方針としてどうしていくのか考え、「職務系の手当」については、出来るだけ賃金の中に組み込んでいく(もしくは廃止する)こととした。

4)第3ステップ  移行設計と導入準備
・これまでの組織風土の違いなどもあり、様々なことが変わる合併と同時に人事制度を変更することでは、運用が難しいと考え、人事制度の正式導入を合併の半年後として、制度の移行の仕方を考えていった。
そのために、移行に向けた事前準備を行っていった
・合併の1年前から、制度の概要についての全社員向け説明化の実施と、店舗(拠点)ごとへの概要の説明を実施。
特に、全ての店舗に人事制度改革のプロジェクトメンバーが複数名で伺い、1時間半程度かけて説明をしたうえで、質問をいただくようにした。質問については、その場で応えず、全ての店舗の説明が終わった段階で、全ての質問について、プロジェクトメンバーと共に、解答を準備し、再び質問に応えていくという取組を行った。
・合併の半年前から、合併時の役員が集まり、社員全員の仮格付けをおこなった。そこで、現在いる全ての社員の現状を知る機会となった。
・合併の半年前からのプレ人事考課の実施を行い、スタッフには、求める人材像と、どんな仕事の仕方をしてほしいのかを伝え、管理職には、評価をどのようにしていくのかのトライアルに繋げていった

コンサルティング②
推進人事制度の運用 コンサルティング

1)考課者研修の実施
・導入後2年間は、管理職全員に、評価者研修を半年に1回実施。「評価の仕方」「面談の仕方」を中心に、行った。また、評価項目の理解を深めていくために、研修内でディスカッションを行うなどして、「人材育成のために、評価を活かす」という考え方の浸透を図っている。
現在は、新任管理職に1日かけて考課者研修を行っている。

2)経営幹部の人事考課に関しての研修
・経営幹部に、人事制度における人事考課の意味、求める人材像と評価項目、人事考課制度運用に向けが幹部の役割といったことを、レクチャーを行った。人事考課を人材育成に活かしていくうえで、幹部の果たす役割についての理解を深めていただいた。

3)すり合わせ会議の実施
・一次評価者の評価(特にプロセス評価)について、コースごとに一次評価者を集め、すり合わせ会議を行っている。一次評価者の評価が出そろった5月初旬、10月下旬に実施。
・コース等級ごとに、全スタッフのプロセス評価14項目を並べて、対象の一次評価者全員で見ていく。評価者の「甘い・辛い」などが見えてくる中、なぜ、その評価となったのか事実を説明してもらう事で、どんな行動や事実を、どんな評価項目で、どの位のレベルと評価したのかを、共有していくとともに、評価者の「目線あわせ」に繋がっている。最初は、大変な時間(数日)かかって実施していたが、現在ではスタッフ全員を1日で終了できるようになっている。

4)スタッフの「役割遂行スキルアップ研修」の実施 
・同じコース、同じ等級のスタッフ集まっていただき、「等級定義」「求められている働き方」を知っていただいたうえで、評価項目のいくつかを選択して、どのような仕事の仕方をしたらいいのかを考えていただく研修を実施。スタッフ全員に、自らのコース等級の定義、評価項目について考えていただく機会をつくり、改めて、新人事制度の中での人事考課の意味や、内容の理解を深めるとともに、期待されている事や、仕事の仕方について考えていただいた。

5)運用についての、定期的なフォローミーティングの実施
・運用をしてみて分かることもあり、運用ですぐに変えていけることは、半年から1年のタームで変更している。また、運用上難しいことが出てきている場合は、実施できる方法を、プロジェクトメンバーと共に考え対応するようにしている。
・制度そのもので変えていく事が見えてきたことについては、2,3年のタームで変更できるように準備を行っている。賃金については、昨今の賃金アップなどもあり、5年程度でもう一度、賃金基準の在り方を考えることにしている。

■結果

・合併後の会社の目指す姿、求める人材像の共有が進み、スタートができた
・各社ごとの仕事の仕方について、合併後の会社でもめられる仕事についての基準の共有が進んだ
・継続的な、考課者研修、すり合わせ会議を進めていく事で、管理職間での評価眼のすり合わせが進んでいる。また、人事考課を人材育成に活かしていくと考える管理職の比率が、増えている。
・制度運用を行う中で、定期的な振り返りをしていることで、実施する中ででてくる問題について、改善を行いながら、進めているので、管理職、スタッフの受け止め方も、前向きに受け止めていただいている。

トヨタ販売店C社(従業員数)500名

■概要

ES調査から、人事制度に対する不満が大きかった。また、調査から、理念や行動指針の浸透も思うように進んでいないことが見えてきたこともあり、評価を含めて、人事制度の改定に着手することになった。

■コンサルティングの内容

コンサルティング①
人事制度設計コンサルティング


1)プロジェクトメンバーとして、管理本部長、経営企画部門の管理職、人事・総務の管理職、営業の管理職、サービスを理解している係長、フロアスタッフの事が分かる女性スタッフの8名でスタート。

2)第1ステップ  現状分析・課題抽出、基本構想の設計
・販売店の環境が大きく変わっていく中、理念と行動指針をもとに、お客様との絆の深化に向けて、仕事の仕方を変えていく事を進めていた。そこで、理念、行動指針についての理解や、仕事の仕方などを中心にヒアリングを行った。また、現場の管理職が、今の人事制度をどのくらい理解しているかのヒアリングも進めた。
ヒアリングから見えてきたことは、行動指針について朝礼で唱和和しているものの、その意味の理解や、行動の変化に繋がっていないこと。また、人事制度については、あまり知られていなかった。等級や評価項目の理解も進んでいなかった。
・当時の人事制度の分析を進める中、
 *等級制度では、等級基準はなく、求める業務レベルが分からないものとなっている
 *年功要素の強い、等級制度、賃金制度となってる
 *人事考課については、制度の周知徹底が不十分であり、内容を理解していない社員が多く、運用が形骸化してる
となっていることが明らかになった。
・こうした現状をもとに、人事制度構築基本ポリシーを設計。「理念に向けて行動指針を実現できる人材を育て、行動指針を実現できている人が評価される制度にしていく事」「一人一人の役割の実践や成果に報いる制度にしていく事」「公平・公正で分かり易い制度にしていく事」を基盤に、制度を設計していく事となった。

3)第2ステップ  制度設計
(コース・等級制度の設計)
人事制度構築基本ポリシーをもとに、コース等級制度を設計。「行動指針に沿った能力を身につけ、ステップアップを目指すことができる等級設計」「コースごとに、それぞれが担う役割があり、その役割に応じた基準を明確化する」ということで、ダブルラダーの等級制度としていった。また、一人ひとりが活躍できるように、各等級定義を明らかにして、全社員が次の等級にチャレンジできるような設計を行った。
(評価制度の設計)
・販売店という事もあり、成果中心の評価だったものを、お客様との絆作りを深めていく会社方針を実現していくための行動を整理して、プロセス評価をより具体的にできるように評価項目を整理していった
・行動指針を実践している社員を評価できるように、行動指針で求めているものを明らかにして、評価項目に加えていった
・評価基準の明確化、フィードバック面談実施など、オープンな評価制度として、公正、公平な処遇、さらには評価を育成に活かすことに結びつけるようにした。
(賃金制度)
・年功の賃金体制だったこともあり、手当の統合などを含めて、不利益変更がなるべく起きないよう、整理をしていった。また、調整給などを用いて、対応した。

コンサルティング②
人事制度の運用 コンサルティング


いかに理解を深めていくかという事もあり、考課者研修を毎年実施、すり合わせ会議の実施、管理職研修の実施、などに取組んだ。

1)考課者研修の実施
・導入後3年間は、管理職全員に、評価者研修を半年に1回実施。「評価の仕方」「面談の仕方」「目標設定の仕方」を中心に、行った。
また、考課者研修の中で、行動指針に沿った仕事の仕方とはどのようなものか、営業、サービス、本部と別れて考えていただく。本部は、営業本部と管理本部に分かれ、中期でのゴールに向けて、仕事の仕方、役割について考える機会をつくった。
・新任の管理職には、必ず考課者研修を行い、等級定義の理解促進、評価と育成について理解を深めていただいている。

2)すり合わせ会議の実施
・二次評価終了後に、幹部が集まり、すり合わせ会議を実施。理業、サービス、本部とそれぞれのコースごと、さらに等級ごとに、「成果点、プロセス点、総合点」を総合点順に並べて、すり合わせと最終評価の決定を行っている。
・各部門のすり合わせの際には、二次評価者となる部門長(部長)が参加し、幹部が一人一人の評価で疑問のある点について質問いただき、部門長に応えていただくようにしている。部門長も、評価の背景を知っておく必要があり、一次評価者と二次評価者との繋がり方が変わってきている。評価改定後、すり合わせ会議は、現在も続いている。

3)人事制度から生まれた各種研修 
◆企画力研修
本部スタッフでは、ルーティン業務中心の業務スタッフと、企画を立案実行する総合企画スタッフとに分かれており、等級にも違いを持たせた。総合企画スタッフになるために、業務スタッフが学ぶ場として、企画力向上研修をつくり、業務スタッフが手を挙げて受講できるようにした(自己成長の一環でもある)。また、研修終了後に企画の課題を出していただき、その評価を総合企画への移動の参考とすることにした。
◆新任管理職研修
これまで、新任管理職研修はTMCの新任研修だけだったが、自社の目指す姿に向けて、管理職として求められることを学ぶための新任管理職研修を新たに設計。自社の目指す姿について改めて共有、人事制度と人事考課、人材育成を中心とした研修を実施。
◆女性活躍支援研修
自社の目指す姿を考えたときに、フロアスタッフの活躍が求められることに。そこで、フロアアスタッフが自身のキャリアを考え、自分自身の学びを推進するためのワークショップを実施。EQによる自分自身の特徴を掴み、フロアスタッフとしてCSや業務改善に取組むためのヒントを共有するなど、今までにない女性だけのワークショップを実施。

このほかにも、店舗単位での改善活動などを推進している。

■結果

・理念、行動指針についての浸透が進むとともに、実際の仕事の中で行動指針を活かしていく事が進んでいる。
・ES調査での特に問題となっていた、評価について、特に若手スタッフからはしっかりと評価してもらって、良いところは良い、悪いところは指摘していただき指導してもらう事で、自分の力が付き始めたというコメントが出てきている。全体的に。評価に対しての信頼感が出始めている。
・今まで学んだ事が無かったことを学ぶ機会ができて、自己成長を実感できる人財も現れてきている。また、新任管理職は、管理職として何をしなければいけないかを学ぶことができ、「知らない事で生まれる不安」がなくなった。