トヨタ関係企業の事例
コンサルティングによるソリューション
■グラスティが考えるファミリービジネスコンサルティング
グラスティは、FBAA(社団法人 日本ファミリービジネスアドバイザー協会)の設立から加わり、欧米のファミリービジネスの理論、日本のファミリービジネス研究をベースに、ファミリービジネスのアドバイザー育成に関わってきました。このようなファミリービジネスへの取組みとグラスティが得意とするビジョン・組織・人財等のビジネス領域のコンサルティングの両軸を活かしてファミリービジネスコンサルティングを行っています。
(ファミリービジネスについて)
◆1980年以降、欧米を中心にファミリービジネスの研究が進んでいます。
・以前は「ファミリーはファミリーらしく、ビジネスはビジネスらしく」が定説で、「ファミリー」と「ビジネス」は、別のものとして扱われていました。
・しかし、現在は「ファミリーとビジネスを一体のものとして 見る」ことで、様々な問題を考えていくようになってきています。
◆ファミリービジネスとは、以下の3要素を持つ企業形態を言います
・創業一族が主要な株を保有
・経営層を一族の複数メンバーが占める(同時期でなくても良い)
・ビジネスに対するファミリーの影響力、次世代へ継承する意思
*2011年度の日本の法人企業数は257万社であり、その96.9% はファミリービジネス(国税庁調べ)
*日本の上場企業の52.9%がファミリービジネスで占めている(ファミリービジネス白書2018年より)
◆ファミリービジネスには、大きく2つのイシューがあります
・明日のビジネス、事業をどうするか (ビジネストップとして)
従業員や顧客、ステークホルダーのため、明日のビジネスを強くする
・未来に向けて、ファミリーの永続性をどうするか (家長として)
自身のファミリー(一族)の幸せのため、永続的に続く、ファミリー(一族)の結束を強くする
◆2つのイシューに対して「日本の長寿企業の研究」「欧米のファミリービジネス最新の研究」から
3領域、6テーマの取組が整理されてきました。
1)資産の承継
①目に見える資産を承継する仕組み
・株式(財産権と議決権)の承継
・不動産の承継
②目に見えない資産を継ぐ仕組み
・象徴財資産(のれん、屋号、ブランド)
・社会関係資産(地域、顧客、協力会社、銀行との関係など)
2)経営の承継
①引き継いだ経営資源を活かし、新しい価値を創る仕組み
②経営を誰に引き継ぐのか(ビジネスとファミリーの関係)を決めていく仕組み
3)家族と家庭の承継
①子供が親の仕事に興味を持つ仕組み
②ファミリーの価値観の共有、長期的なビジョンを持つ仕組み
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◆ファミリービジネスのコンサルティングを進めていくうえで、重要な2つのモデル
・3サークルモデル
ファミリービジネスの基本モデルであり、ファミリービジネスをシステムとして考えるようになった
3サークルモデルから分かるように、7つの立場が存在し、長期間の中でお互いに影響を与え続けていく。
7つの立場、夫々の違いからくるコンフリクトを、いかにマネジメントしていくかが、重要になってくる。
・PPPモデル(Parallel Planning Process model)
ファミリー(一族)の長期計画とビジネスの計画をすり合わせる
参照:Randel S.Carlock & John L.Ward、階戸照雄翻訳『ファミリービジネス最良の法則』2015年
ビジネスにおいて、素晴らしい事業計画を策定していても、ファミリーの中長期の計画をつくり、ビジョンや参加戦略等を設計しているファミリーは少ない
ファミリービジネスにおける、2つのイシュー、3領域、6テーマに対して、これらの代表的な2つのモデルなどを活用して、コンサルティングを行っていきます。
◆グラスティがファミリービジネスコンサルとして得意としていること。それは、ファミリービジネスの「ビジネス領域」は、もちろんの事、以下の5つを行っています。
①三世代にわたる事業承継計画の作成
②ファミリーの価値観・ビジョンつくり (家訓・家憲、ビジョンつくり)
③ファミーのガバナンスつくり (ファミリーミーティングの実施による、ガバナンス体制つくり)
④未来に向けたオーナー家の役割の設計
⑤事業承継者および番頭候補の育成
5つの取組みは、全く独立したものではなく、①から始まり、②、③へと繋がることもあります。また、②をつくり③を進めていく事や、④を考えることで、③⑤に取組む場合もあります。また、取組みテーマによっては、ファミリービジネスアドバイザーとして、お金や法律、心理学の専門家などとチームをつくり、コンサルティングを行うこともあります。 ファミリービジネスコンサルは、各ファミリービジネスの個別の問題や独自性があり、個別オーダーメイドでプランを作っていく事になります。
<事例>
「創業家一族が、価値観を共有し、ビジネスを考える場(ファミリーミーティング)を定期的に開催。」
トヨタ販売店D社(従業員数)600人
■概要
創業一族がグループ各社の経営を行う中、世代を重ねることに、創業時からの「価値観、新たな事業を立ち上げた経験」などが徐々に薄らいでいた。改めて、創業家一族のビジネスに関わっているメンバーを中心に、ファミリーガバナンスの強化に向けて、価値観の共有、ファミリー間の繋がりの強化、ファミリーミーティングの定期的な実施、等に取組んでいる。
■コンサルティング内容
創業家一族の第4世代(50歳前後の次世代の経営者)3名を中心メンバーとしてスタート
◆Step1 2010年代中盤からスタート 半年程度
ファミリーとファミリービジネスの実態を整理し、ファミリーが大切にする価値観を明らかにする
(実施概要)
3つの取組み
①ファミリーの全体を明らかにする
100名近い家系図となり、非常に様々な分野で活躍している人材が多くいることが見えてきた
②ファミリーの価値観を整理し、ファミリーで共有する
③当時の家長(ビジネスでは会長、当時70歳後半)にファミリービジネスについての理解を深める
*①②のために、歴史年表を作成して、ファミリーのヒアリングを行う 14名(ご年齢を行かれた方も)
①②を実施して、見えてきた価値観と問題意識を明確化
・第3世代には、大きな年表を使って、その時々の事を思い出していただき、ヒアリング
・そこから見えてきた、3つの価値観
ファミリーを一つにしていくこと、自分達のビジネスの在り方を考える、重要なキーワードが3つに整理された
①②を実施後、③にあるように当時の家長に報告を行った。そこでの家長から頂いたご意見は
・偉大な先祖の存在と、今後の成長についての心配
・ずいぶんファミリーの間が遠くなった気がする (ファミリー間でのコミュニケーションが少なくなった)
・ファミリー全体の、人材がまだまだうまく活用されていないのではないか
*こうしたご意見をもとに、Step2の取組みをスタートした。
◆Step2 2010年代後半~現在も実施中
第4世代が一体となり、ファミリービジネスについて考える (ファミリーミーティング実施)
(Step2の目的)
・お正月やお盆くらいしか顔を合わせない関係だったため、ファミリーとしての結束を高めていく
・事業に参加しているファミリーを中心に、「家」の意識を高め、グループの経営についてオーナー家としての責任のもと、考えるようになる
(誰を入れるのかを考える)
第4世代で、各家、事業に関係している10名が参加名(基本的に、第3世代の各家から1名)
(実施概要)
・2ヶ月に1回、2時間程度のミーティング。終了後、時間があるときに、食事会を実施。
・ミーティングの最初に、一人2分程度、この2か月間の「家族と仕事」について、報告会。
・実施月前後が誕生日の方などを報告(入学、卒業なども)
・会議体の「名前」「グランドルール」の決定。議事録も作成することにした。
(テーマ)
・家系図を全員で見て確認・追記→全員が驚く
・ファミリーの価値観について共有→全員納得
・会議の名前、グランドルールつくり
・ファミリービジネスの勉強会
・危機感の共有:グループの事業環境の共有、グループ各社事業の現状について共有
・地域の変化について共有、地域の取組み方針の共有
・「他社 ファミリービジネス企業およびオーナー家」の会社見学および、オーナーのお話伺う
◆Step3 スタート時から5年後
・第3世代から第4世代への事業承継の実施
特に、見えない資産の継承をしっかり行う
◆Step4 Step3の事業承継後から
・グループのファミリービジネス「今を最強に、未来への種をまく」ための方針を考える
→ Step2で実施してきたファミリーミーティングのテーマとして、取り上げられるようになってきた
◆Step5 Step3の2年後から
・グループの次のトップへの継承計画について考え始めた
→ 事業景勝をしたときから、次の承継について考える。だから、早めに考えていくことに
→ オーナー家の役割は何かを考えはじめ、20年先のファミリービジネスを考えることに
■結果
・10家のファミリー代表の日常のコミュニケーションが良くなり、ファミリー間での相談事などが増えてきた
・第4世代の会に続いて、第5世代(20歳、30歳代)も、開催され始めている
→ オーナー家の関係性は、大変よくなってきた
・ビジネスにおいて、グループ間での情報交換などが進み始め、「今の現業を強くする」と「未来に向けて手を打つ」という事を、考える機会が増えてきている
・ファミリーミーティングに散会しているメンバーから、事業のタイアップ、新規事業の立ち上げなどの相談事が出始めている
→ ファミリーのグループ企業の活性化に繋がり始めている
・他のファミリービジネスについて、学ぶ機会をつくり、オーナー家の在り方についても考え始めている
→ オーナー家の皆さんが、20年先の事を考え、計画を立て始めている